好転反応という言葉を聞いたことがありますか?マッサージなどで見られる反応のことで、これが出ると体に悪いのではないかと勘違いする人もいるので、しっかりと知っておくことが大切です。好転反応とは、文字通り、好まれる状態へ移る前の症状を表します。マッサージを受けた後に、体がだるくなったり、おなかの調子が悪くなったり、または眠くなるなどの症状が好転反応の1つの例です。マッサージ店によっては、施術後にマッサージ師からこういった症状が起きる可能性があると注意を受けることもあります。しかしながら、マッサージ師からはどうしてこのような反応が起こるのか、どういった効果があるのかなどは説明がないことがほとんどです。そのため、注意がなかった場合や自分でリンパマッサージを行った場合などは、好転反応が起きたことが原因でストップしてしまう人もいます。どのような症状や意味があるのかを確認しましょう。
好転反応が起こる理由は至って単純です。リンパマッサージをはじめとするマッサージでは、体中の老廃物や疲労物質を取り除くのが目的です。では、マッサージによって、どうやって老廃物や疲労物質を身体から出すのでしょうか。まずは老廃物・疲労物質の溜まっている筋肉などをしっかりと揉み、血液に流出させます。その後、尿や汗などを通じて排出するという流れになります。つまり、一度血液を介することになるのです。そのため、老廃物・疲労物質が短時間であっても体を巡ることになるので、眠くなる、体がだるくなる、おなかの調子が悪くなるといった症状が短期的に現れることになります。これが好転反応と呼ばれるものです。体から老廃物・疲労物質が排出された後は、体がすっきりし、疲労が回復した状態となります。本来期待している効果を得るために必要な症状ということができます。
好転反応にはどういったものがあるのでしょうか。どういったマッサージを受けたのかによっても見られる反応は異なります。また、個人差もあり、症状が全くない場合や好転反応によって他の症状が引き起こされることもあるので、ここで説明されるものが全てとは限りません。もし、数日たっても症状が引かない場合や、見たことのないような症状がある場合は、病院で医師の診断を受けてください。好転反応は弛緩反応、過敏反応、排泄反応、回復反応の4段階を経ることがわかっています。
まずは弛緩反応です。弛緩とは、簡単に言うと「ゆるむ」ということ。体の筋肉などが緩み、体中のだるさや倦怠感などが出ます。この症状に加えて、いつもより眠いといった状態も現れるのが弛緩反応です。マッサージによって刺激された自律神経などが元の状態に戻ろうとして出てくる症状です。
弛緩反応が終わると、次の反応に移ります。但し、治るまでが早い人は全ての反応がそれぞれ重複して起こることもあります。過敏反応は、その言葉通り、体の臓器や部位が過剰に反応することです。腸が反応する場合は下痢や便秘、筋肉や関節が反応する場合は痛みや腫れ、発汗などが起きます。マッサージによって刺激を受けた部位が徐々に治り始める段階です。
弛緩反応、過敏反応が起こった後、排泄反応が起きます。排泄反応とは単に尿が出やすくなるといったものだけではなく、体の器官から排出されるものはほとんど含まれます。例えば、皮膚であれば吹き出物や発疹、そして肌荒れなどが起きます。目であれば、目やにが出てくるなどもこの排泄反応になります。マッサージを受けた直後に尿の量や頻度が増えるというのもありますが、徐々に尿の色が変化するなどの反応もでてきます。これらの排泄反応は刺激によって器官が活性化され、排泄が活性化されることが原因です。
弛緩反応、過敏反応、排泄反応の3つの反応が終わると、最後に回復反応というものが起きます。マッサージによって刺激された部位が完全に元に戻ることになります。刺激によって血液中に流出した老廃物・疲労物質が体の外に排出されることになります。回復反応期に見られる症状は、発熱や吐き気、動悸といったものがあります。また、以前の反応でも見られた体の痛みや腹痛なども現れることがあります。最後は少ししんどいですが、これが終われば元の身体に戻ることになります。症状を知っておくことで、これ以外の症状が出た場合は早めに病院へ行くことができる上、慌てずに済むでしょう。回復反応が終わると、マッサージ前に不調であった部分も復調します。
ここまで好転反応とは何なのか、どういった症状が起きるのかを説明してきましたが、実際に起きた場合はどうしたら良いのでしょうか。体の不調を治すためにマッサージを受けたのに、辛い好転反応が起きてしまっては元も子もありません。ここでは、好転反応を少しでも和らげる方法を紹介します。
辛い好転反応が起きた場合は、無理に動かず安静にするのが良いでしょう。崩れたバランスを元に戻そうとして起きる反応なので、流れに逆らわずまずはゆっくりとすることが大切です。特に、熱が出ている場合や痛みを伴う場合は、無理に外に出ることなく、家などで休むのが効果的です。好転反応で生まれた熱や痛みはすぐに引くことが多いです。一晩寝れば回復していることもあるでしょう。
水分補給は大事な対処法の1つです。好転反応の原因は、マッサージなどの刺激によって体の細胞や筋肉などから排出された老廃物・疲労物質が血液に乗って体中を巡ることでした。それらの老廃物・疲労物質は排尿や発汗などで体の外に排出されることになるので、水分を補給することで体から排出しやすい環境を整えることができます。この際、冷たい飲み物は控えるのが良いでしょう。内臓を過度に冷やしてしまう可能性や、腹痛の原因となる可能性もあるため、ぬるま湯や常温のお水、温かいお茶などを飲むのが効果的です。いつもよりも多めに水分を取ると良いでしょう。
上でも述べましたが、好転反応の原因となる老廃物・疲労物質は血液中を漂っています。これらを排出するためには排尿や発汗が効きます。十分な水分を摂取したら、お風呂に入るのも効果的です。体の温度を上げ、代謝をアップさせることで発汗作用も得られます。この際、熱すぎるお風呂には入らないようにしましょう。熱すぎるお湯は、結果的にお風呂の時間を短くしてしまうことにつながります。それでは体の芯まで温まらず、発汗の作用も十分には得られません。ぬるめのお湯にゆっくりと浸かるのが良いでしょう。お風呂に入っている間はリラックスし、体の回復を助ける効果もあります。
最後に、しっかりと睡眠を取りましょう。休むことによって自律神経がオフになり、体が回復します。熱や痛みがなければ、ウォーキングなどの軽い運動も効果があります。運動によって代謝を上げた後は、しっかりと寝ることで二重の効果が得られるでしょう。自分の体調を鑑みて、どのような対応をすべきか判断して下さい。くれぐれも無理はしないようにしましょう。
好転反応ともみほぐしを勘違いする人も多いのが現状です。非常に似た症状ではありますが、揉み返しは筋肉や組織を傷めてしまっている状態を指します。そのため、筋肉や組織が回復するまでに時間がかかるのが特徴です。1週間かかる場合もあります。逆に、好転反応は体の不調を元に戻すために生まれる症状なので、長くても数日で元の状態に戻ります。筋肉の痛みもすぐに引きます。良いマッサージでは揉み返しは起きず、好転反応のみです。見分け方を知っておくことで、慌てずに対処することができるようになります。
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