サロン開業前にチェックしておきたい事項に法律関係があります。このページでは、サロン開業にあたって押さえておくべき法律上のポイントや手続きについてまとめました。
リンパマッサージなどのエステティシャンは、美容師やあん摩マッサージ指圧師のように国が定めた国家資格を必要としません。
サロンへの就職など個人が活動する分には問題ありませんが、サロンを開業するなら特定の職業に関した法律を知っておくことが大切です。ここでは、サロン開業にまつわる法律上のチェックポイントについて解説します。
サロンを開業する際には開業届の提出が必要です。とは言え、開業届の提出は義務ではないため、個人事業主として自宅をサロンにするなど、開業届を出さなくても何らかの罰則が課せられることはありません。
ただし、開業届を出していないと、金融機関などからの融資を受ける際に、事業計画書の提出ができません。また、確定申告の際に青色申告を利用できない、屋号付きの銀行口座やクレジットカードを作れない、補助金や助成金の申請ができないなど、さまざまなデメリットがあります。
事業計画書を作成して提出が必要なケースでは、事業を開始する1か月以内に税務署に開業届を提出しましょう。
施術の際にお客様の肌に直接ふれるサロンでは、公衆衛生との関連が生じるため衛生法規にかかわります。個人経営の小規模サロンの場合は該当しませんが、従業員が50名以上いるサロンでは、衛生管理者の設置が必要です。
リンパマッサージサロンは直接的な薬機法の規制対象ではありませんが、医療機器を使った施術、医療機器と同等の効果があると謳うことは禁止されています。「むくみを解消する」など、医療効果のような表現は薬機法違反にあたります。
誤解を招く広告表現から消費者を守るために作られた法律です。サロンで「その施術を受けさえすれば痩せられるか」のような誤認を与える表現をすると、優良誤認として景品表示法違反となるため注意が必要です。
違法・悪質な勧誘行為を防止するために、クーリングオフ制度などで消費者を守るために作られた法律です。エステティック業界や美容医療など、身体の美化のために継続的にサービスを提供するものの、目的の実現が確実でないものが対象になっています。
賃貸マンションや賃貸住宅でサロンを開業したい場合、管理会社や大家さんの許可が必要です。無許可でサロンを開業すると「賃貸借契約違反」となってしまいます。賃貸借契約上、居住用契約で契約したにも関わらず店舗や営業所などの経営目的で使用することは契約違反になるからです。
契約当初は住むために入居したけれど、途中で変更したいといった場合は、貸主に使用目的の変更を希望しなくてはなりません。
賃貸契約の際には、店舗・営業所などの目的で使用する旨を明確に伝えましょう。貸主に相談・交渉しても店舗利用が認められない場合には、許可してくれる物件をあらためて探す必要があります。
マッサージは医療類似行為とされており、厚生労働省の定める基準をクリアした有資格者しか行うことができません。無免許で行えば、法律によって処罰の対象となります。もみほぐしやリラクゼーションを目的とするリンパマッサージであっても、治療や治癒を目的としたマッサージと表現してはいけません。
マッサージに準ずるメニューとして、リラクゼーションやトリートメントといった表現を使うようにしましょう。サロンでマッサージを提供するのであれば、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師などの免許が必要です。
サロンの立地によっては法律に制限がかけられていることがあり、開業できない可能性があるので注意が必要です。サロンの立地選びでは、以下の点に注意しましょう。
賃貸マンションやアパートなどを改装してサロンを開業したい場合、工事開始の7日前までに防火対象工事等計画届出書の提出が必要です。
改装せずにそのまま店舗として使用する場合であっても、サロンの使用開始7日前までに防火対象物使用開始届出書を出しておかなくてはなりません。
ちなみに、スタッフの人数が30人以上の場合、防火管理者を配置しなくてはならないと決まっています。自宅やマンションの一室をサロンにする場合には必要ないでしょうが、大規模なサロンの開業を目指しているなら防火管理者について知っておきましょう。
賃貸マンションでサロンを開業する場合、住居用とは異なるため建築基準法の基準に抵触するおそれがあります。物販販売業と営む店舗以外の店舗の対象となるリンパマッサージサロンは、住居用建物と建築基準が異なるためです。
内装などの条件を満たさないと、開業できない可能性があります。自宅マンションや戸建が建築基準法に沿っているか、サロン開業前に設計事務所や工務店に確認しましょう。
サロンの営業場所や営業方法によっては、法律にかかわる問題につながる場合があります。
賃貸ではなく持ち家であっても、住宅地域でサロンを開業する場合には近隣住民からのクレームに注意が必要です。特に、マンションの一室でサロンを開業する場合、営業中の会話や出入りの音などが近隣住民にストレスを与えてしまう可能性があります。
また、決められた場所以外にお客様が駐車してしまうと、トラブルに発展するおそれも。
住宅地域でサロン開業を考えている場合は、開業前に近隣に挨拶を行い常に音に配慮する、専用駐車場を契約するなど、クレームやトラブルにつながらないように対策を立てましょう。
近隣住民とのトラブル以外にも、法律トラブルが起こる可能性はゼロではありません。ここからは、サロン運営中に直面しがちな法律問題と対処法についてまとめました。
リンパマッサージを行うエステティシャンは、接客の間は交代ができずに残業するケースもあります。勤務時間以外に働いたとなると、残業代を支払わなくてはなりません。
労働時間の上限にも注意が必要です。労働基準法では、従業員の労働時間は1日8時間・週40時間が上限となっています。サロン開業でスタッフの雇用を考えているなら、労働時間の上限を超えないようなシフト体制や従業員管理が必要です。
顧客情報を取り扱うサロンでは、個人情報保護法に基づき、個人情報の利用目的を契約書などに明確に記載して、情報の取り扱いについて明示的に説明して同意を得なくてはなりません。顧客データの取り扱いにも注意が必要です。
故意でなくても、個人情報が流出してしまうとあとで大きな問題に発展したり、お客様が犯罪に巻き込まれたりする恐れもあります。
国家資格を必要としないリンパマッサージやリラクゼーションサロンであっても、開業する立地や地域、建物の条件によってさまざまな法律が関わってくると分かりました。
開業準備に使えるチェックリストをまとめましたので、ぜひご活用ください。
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