「朝起きたら顔がパンパンにむくんでいた…」「手がむくんで指輪が外れない…」「足がむくんで靴下のあとがついてしまった…」このように、体の至るところで起こるむくみの症状。あまりにも頻繁に起こると、病気を疑って心配になることもあるでしょう。
そこで、体がむくむ理由やケア方法、予防法などを紹介していきます。
人間の体のおよそ60%は水分であるということは広く知られているでしょう。その水分のうちの40%は細胞内液に、残りの20%は細胞外液にあるとされています。
このなかで、細胞外液がむくみに関係しています。というのも、細胞外液にある血液や水分のバランスが崩れることによって、細胞と細胞の間に余分な水分が溜まり、むくみが起きてしまうのです。
このようなことが起きてしまうのは、多くの場合で、血液の循環が悪くなったとき。とくに、心臓より下の位置にあるふくらはぎは、重力の影響で血液循環しにくい部位です。そのため、立ちっぱなし、座りっぱなしなど同じ姿勢を続けていると、血液循環が滞ってむくみが生じてしまうのです。
また、むくみには生活習慣が影響しているケースも多くあります。たとえば、塩分・水分が多い食事、ストレス、睡眠不足、冷えなどによっても、むくみが出てしまいます。
むくみの多くは、ひと晩ゆっくり休むことで解消される一過性のもの。しかし、あまりにも頻繁に起こってしまったり、長引いたりしてしまったときには、注意深く観察する必要があるでしょう。
「ゆっくり休んだり、ケアしたりしてもなかなかむくみが治らない…」このようなときには、一度病院への受診を考えた方がよいでしょう。それでは、体のむくみによって考えられる病気についてまとめていきます。
心筋梗塞や心臓弁膜症、心筋炎など、心臓の病気(心不全)が原因でむくみが生じている場合もあります。心臓に障害がある場合、むくみだけではなく、動悸・息切れ、手足のしびれなども起こりやすいため、それらの症状に心当たりがある方は病院に相談するとよいでしょう。
むくみが生じる場合、腎臓・肝臓に疾患があるケースも考えられます。
腎臓・肝臓に疾患があると、血中に含まれるアルブミンというたんぱく質の量が低下してしまいます。アルブミンは、栄養素を運搬する役目のほかに、血液の浸透圧を調整する大事な働きを持っている物質です。
つまり、アルブミンが低下することによってむくみが起きてしまうのです。そのため、ひどいむくみが気になる場合は、腎臓・肝臓の働きが弱っているのかもしれません。
また、アルブミンと密接に関係している病気にネフローゼ症候群があります。腎臓からアルブミンが漏れてしまうことで血液中のたんぱく質が減少し、全身にむくみが起きてしまう疾患のことです。腎機能が低下することで、高血圧、心不全、肺気腫などを引き起こすケースもあるため、注意が必要です。
アルブミンの数値は血液検査によって調べられますので、気になる場合は病院を受診するようにしましょう。
甲状腺機能低下症によっても、むくみが起きることがあります。
甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの不足によって全身のさまざまな機能が低下してしまう病気です。体のむくみのほかに、疲労感やだるさ、食欲の低下といった身体症状、無気力や記憶力の低下、抑うつなどの精神症状が出ることも少なくありません。
これらの症状が気になっている方は、一度病院を受診し、血液検査を受けることが推奨されます。
妊娠や生理の影響によってむくみが生じるケースもあります。
妊娠の影響として考えられるのが、妊娠高血圧症候群。妊娠20週~産後12週までに血圧が上がった状態を指し、高血圧症状や、ひと晩休んでも取れないほどのむくみなどが生じることがあります。
また、月経前のイライラなどの精神症状、胸の張りなどの身体症状を総称する月経前症候群(PMS)でもむくみが生じることがあります。月経前症候群によるさまざまな症状には個人差が大きく、多くの場合では月経開始に伴って症状が軽くなっていくのが特徴です。
むくみとホルモンバランスは密接に関わっていますが、日常生活に支障が出ている場合は病院を受診するようにしましょう。
体がむくんでしまったとき、どのようにケアしたらよいのでしょうか。ここでは、2つのポイントについて解説していきます。
体がむくんでしまったときには、マッサージやストレッチが効果的です。
マッサージでは、オイルやクリームなどを使って全身を撫でるようにほぐしていきましょう。このとき、鎖骨からスタートし、肩や二の腕、腰…と上から下にマッサージしていくのがポイントです。マッサージの前に、白湯や常温の水を飲むようにするのもおすすめですよ。
ストレッチでは、むくんでしまった場所を中心に伸ばしていきましょう。ふくらはぎがむくんでしまっている場合は、足首を回したり、アキレス腱を伸ばしたりしてむくみをケアしていきます。このとき、ツボを押すのも◎ですね。
また、むくんでしまった部分を心臓より高い位置に持って行くのもおすすめです。
むくんでしまったときは、入浴をして1日の疲れを癒やしましょう。シャワーだけですませるのではなく、しっかりと湯船につかることをおすすめします。お風呂の中で体をマッサージするのもいいですね。
ストレスや疲れがむくみの原因になってしまっているときは、ラベンダーなどリラックス効果のある入浴剤を使うのも◎です。
体がむくまないようにするためには、どうしたらいいのでしょうか。ここでは、5つの項目に分けて解説していきます。
立ちっぱなし、座りっぱなしのまま長時間過ごしていると、血液の流れが悪くなり、むくみやすくなってしまいます。そのため、仕事などに集中しているときでもなるべく体を動かすようにするのがポイントです。
1時間を目安に、屈伸やアキレス腱伸ばし、足首回しなどを取り入れてみたり、温かい飲み物を買うために歩いたりするようにしましょう。
むくみ解消や予防のためには、こまめに水分補給することが大切です。1度に大量の水を飲むのではなく、ゆっくりと味わうように飲みましょう。お茶やコーヒーなどには利尿作用のあるカフェインが含まれていますので、ノンカフェイン、デカフェのものを飲むようにすると◎です。
塩分過多など、偏った食事をしている方は、食事内容を見直し、改善していきましょう。
普段あまり野菜を摂らない方には、カリウムが豊富に含まれているアボカド、食物繊維が豊富なセロリ、むくみ改善に効果のあるとうもろこしなどがおすすめです。
また、むくみ解消・予防には、ビタミンEが豊富なナッツ類やキャベツも効果的だと言われています。
疲れや睡眠不足が原因でむくみが起きてしまっているなら、しっかり休養するようにしましょう。寝付きが悪い、短時間で目覚めてしまうといった方は、これを機に睡眠環境を整えたり、ハーブティーなどを飲んでリラックスできる時間を作ったりすることも大切です。
冷えが原因でむくみが生じてしまう方は、なるべく体を冷やさない工夫をするようにしましょう。ブランケットやデスクヒーターを使うことはもちろん、冷たい飲み物や食べ物は避け、発汗作用のあるショウガなどを食べるようにすることも大切です。
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