リンパマッサージやその他のリンパに関する療法などの資格を取る前に、具体的にリンパがどのようなもので、身体でどのような役割を担っているのか、仕組みを知ることで資格の勉強のスタートもスムーズに行うことができます。リンパと一言にいっても、リンパ管、リンパ液、リンパ節など様々なものがあります。自分の身体にあるリンパですが、なかなか知る機会がないもの。まずは、しっかりと仕組みを理解しましょう。
リンパ管は比較的理解しやすい器官です。というのも、読んで字のごとくリンパを流す管を指すためです。血管が血を流す管なのに対し、リンパ液を流すのがリンパ管です。しかし、リンパ管は血管と違って一方通行で、体の細部にまでリンパ管は張り巡らされてはいるものの、どこかに繋がっているというわけではありません。リンパ管を構成する細胞壁は薄く、様々なものを通します。末端のリンパ管は毛細リンパ管と呼ばれ、集合リンパ管、主幹リンパ管と段々と大きくなります。血管と違って心臓のようなポンプがないため、筋肉の収縮や体内外の圧力の変化、マッサージなどでリンパ管の中をリンパ液が流れます。
リンパ管の中を流れているのがリンパ液。血液とリンパ液は区別されていますが、リンパ液を構成しているのは主に血液中の血しょうです。細胞から出た液体がリンパ管の中に入り、それがリンパ液となります。リンパ液には赤血球が含まれないため、色は赤ではなく黄色です。擦り傷などのケガをした際にはまず血が出、段々と治ってくると黄色の浸出液が出てきますが、この色と同じ色をしています。全身の器官からリンパ液が出てくるため、異なる器官から出たリンパ液は成分や色が異なります。
リンパ節は小さな豆状の器官で、非常に重要な役割を担っています。全身の器官から出てきたリンパ液は毛細リンパ管から集合リンパ管、主幹リンパ管とどんどんと大きいリンパ管に移っていきます。そのところどころにあるのがリンパ節です。このリンパ節には免疫細胞がおり、体の外から入った風邪などのウイルスを攻撃してくれるのです。首や喉あたりにある有名なリンパ節である扁桃腺が風邪を引いた際に腫れたり熱を持ったりするのは、扁桃腺内で免疫細胞が外部から入ったウイルスと戦っているためです。
全身から出たリンパ液がリンパ節などを経由してリンパ管を流れる仕組みをリンパ系と呼びます。基本的にリンパ系は全身を網羅的に巡っていますが、歯を含む骨や中枢神経、胎盤には通っていないとされています。「リンパ」と呼ぶ場合は一般的にこのリンパ系全体を指している場合と、リンパ液を指している場合があります。全体像を理解してどちらのことを指しているのかを判断して下さい。
リンパには4つの働きがあります。1つ目は免疫機能です。免疫細胞がリンパ液の中にいることはリンパ節について説明した際に述べました。2つ目は細胞に溜まった水分の排出です。リンパ管は全身にあり、細胞から出てきたリンパ液を運びます。このリンパ液は血管に入れなかった水分を細胞からくみ上げ、静脈に戻す役割も担っています。3つ目はタンパク質やウイルスなどの身体に必要のないものを綺麗にする役割です。静脈には綺麗になったリンパ液が流れていきます。4つ目は小腸で吸収された脂肪を静脈まで流す役割です。小腸内のリンパ管は乳糜管とも呼ばれます。
リンパの流れが滞ると、体に様々な症状をもたらします。まずは免疫機能が弱まることが大きな症状の1つです。リンパの流れが悪くなると、リンパ節を中心とした免疫細胞が集まる場所にウイルスなどが運ばれなくなるため、免疫機能が低下します。また、リンパ管は全身の細胞から水分をくみ上げて静脈へと流しているため、リンパの流れが滞ると細胞から水分が排出されづらくなるため、むくみが発生する原因の1つでもあります。
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