念願のマッサージサロンを開業しても、利用者が少なければ長く続けることはできません。ここでは、マッサージサロンを開業するにあたり、集客につなげやすい物件や立地選びのポイントなどについて紹介しています。
マッサージサロンを出店する予定のエリアに対して、人口や年齢層といった特性を調べることは非常に重要です。総務省統計局や役所の資料を利用してエリアの状況をチェックすれば、ターゲットとなる客層が多いかどうかを判断できます。また、ここ数年で人口が増加傾向にあるエリアは、今後も人口増加が見込めるため出店に適していると言えるでしょう。
さらに、エリアへの流入が増える高層ビルや大型商業施設の建築など、大規模な開発計画があるかどうかも確認しておきたいところ。現状だけでなく将来性も見越して立地を選べば、長期に渡り集客率の下がりにくいサロンを実現できます。
立地と混同しやすい言葉に、「商圏」というワードがあります。立地において重視する点は、そのお店にどのようにして人が流れてくるのか。一方で、商圏はお店の利用者が暮らしている場所を指し、お店を中心に円を描いた時に、ターゲットとなる客層がどの範囲にどれくらい住んでいるかを考えます。
マッサージサロンの場合は、お店から半径1~2キロ圏内の人をターゲットとするのが一般的です。
物件を選ぶ際に重要なのは、「どれくらい人に伝えやすいか」です。目印となる建物の向かいや隣など、電話や口頭でも分かりやすく伝えられるかがポイントです。地図を使わなくても分かりやすい立地であれば、お客さん広告やホームページを見た時にも、瞬時に場所をイメージしやすいでしょう。
また、分かりやすい場所は人の印象に残るので、しばらく経ってからも「そういえばあそこにマッサージサロンがあったな」と思い出しやすくなります。反対に、選んだ物件の場所が分かりにくい場合は、略地図を描いてホームページやチラシに掲載したり、お店までの道案内を載せるなど工夫すると良いでしょう。
「なるべくイニシャルコストを抑えて開業したい」という人の中には、居抜き物件を利用しようと考えている人もいるかもしれません。たしかに居抜き物件は他の物件よりもお得に開業しやすいですが、考え方によっては「以前のお店が何らかの理由で廃業した」とも捉えられます。
そのため、居抜き物件を利用する場合は、まず「なぜ以前のお店が廃業したのか」を事前に確認し、マッサージサロンを経営する際の参考にしましょう。もしサービスの内容が悪かったのであれば同じイメージを持たれないように、集客が難しい場所なのであれば出店自体を見直す必要があります。
候補となる物件の周りにあるマッサージサロンに関して、コンセプト・規模・ターゲット層などの情報をあらかじめチェックしておくことも大切です。可能であればサービスの内容や料金設定なども調べ、開業予定のサロンと競合するか比較してみましょう。
また、直近の1店舗以外にも、自宅サロンを含めた周辺サロンに関して細かく調べてみるのもおすすめです。開業予定のエリアを歩いたり、インターネットで近くのマッサージサロンを検索してみましょう。競合店の状況を見える化しておくと、宣伝広告を考える時に他サロンとの差別化を図れます。
立地も物件も好条件なほど、賃料は高く設定されやすい傾向にあります。資金に余裕がある場合はそのまま借りても良いですが、予算内で希望の立地を選択する場合はコストパフォーマンスに焦点を当ててみましょう。マッサージサロンの経営は1日に応対できる数に限りがあり、どんなに立地や物件が良くても賃料対利益のバランスが悪ければ経営を続けていくことはできません。
一般的に、ビルのテナントの場合は1階よりも上の階は賃料が安いため、予算を抑えた開業ができます。その反面、上の階になるほど認知度が下がるので、売上は落ちる傾向にあります。
住まいの一室を使ってマッサージサロンを開業する自宅サロンは、賃貸物件とは違って家賃が発生せずイニシャルコストを抑えた開業が叶います。また、通勤時間もないので身体的・時間的負担もかかりませんし、自分のペースで仕事ができるのも魅力です。そのため、「スキルを活かして、自分のペースで働きたい」という人に向いているでしょう。
しかし、自宅サロンは看板を出せないケースがあります。仮に看板が出せたとしても、店舗情報として自宅住所を公開する必要があります。さらに、近隣住民や同居人の理解がないと、開業後にトラブルが発生する可能性もあるでしょう。
物件を借りての開業は、自宅サロンとは異なり、認知度を高めやすいというメリットがあるでしょう。大通りに面した物件の場合は、広告を出さなくても認知度を高めることが可能です。また、自宅とサロンが別の場所にあるので、仕事とプライベートのメリハリも付けられます。
一方で、物件を借りるということは、それだけ初期費用がかかります。その他にも家賃や光熱費などのランニングコストも発生するため、早い段階から利益をあげないと経営が苦しくなってしまうでしょう。
商用として利用できるマンションやアパートの一室を借りてマッサージサロンを開業する方法です。希望するエリアでお店を開けるうえ、プライベートサロンを思わせる特別な空間を演出できるのもポイント。看板が設置できないケースが多いものの、そのぶん隠れ家のようなイメージを演出できます。
また、マンションやアパートの一室を使った開業は、自宅サロンと比べて初期費用がかかりますが、テナントを借りるよりもコストを抑えることが可能です。
ビルや商業施設内のテナントは、物件から内装まで自分の好みに合わせて選べるため、こだわりを詰め込んだマッサージサロンを開業したい人に向いています。また、ビルや商業施設内の店舗は信頼感や安心感を与えやすいため、本格的にサロンを経営したい人や集客を成功させたい場合にも一役買ってくれるでしょう。
一方、賃貸物件は初期費用がかかるので、集客を見込める立地なのか、どのような年齢層の人が利用しやすいのかなどを事前にリサーチしておく必要があります。
レンタルサロンを利用した出店は近年注目を集めている開業方法で、施術ベッドをはじめとした設備が揃ったスペースを間借りして、利用した時間料金を支払うというシステムです。賃貸物件によるサロン開業のようにオリジナリティ溢れる演出は難しいものの、好立地かつ低コストでサロンを開業できるのは嬉しいポイントでしょう。
そのため、「はじめからテナントを借りるのは不安…」「まずはサロン経営が向いているかをチェックしたい」という人におすすめです。
賃貸物件には「居抜き物件」と「スケルトン物件」という2つのタイプがあります。どちらも特徴やメリット・デメリットが異なるため、マッサージサロンを開業したいと考えている人はチェックしておきましょう。
居抜き物件とは、以前のお店が利用していた内装や設備がそのまま残されている物件です。どれも再利用できるため、まっさらな状態から内装工事をしてサロンをつくるよりも初期費用を抑えられるというメリットがあります。また、内装や設備の状態が新しく、再利用が可能な場合は足りないものを揃えるだけですぐにサロンを開けます。
ただし、以前のお店がサロンと全く関係の無い業種であった場合、スケルトン物件による開業よりもコストがかかる可能性があるので、居抜き物件のメリットを有効に利用するのは難しいでしょう。
スケルトン物件とは、建物の構造体がむき出しの状態の物件を指します。内装が何もない状態なので、自由なデザインでマッサージサロンづくりができる点がメリットです。コンセプトにぴったりな空間に仕上げられるので、サロンとしての個性を出しやすいでしょう。
一方で、何もない状態からサロンをつくるとなると、多くのお金と時間がかかります。内装工事だけでなく空調工事や電気工事なども行わなければならず、オープンまでにかなりの時間がかかるでしょう。
路面店で開業するメリットは、何といっても道行く人の目につきやすいという点です。目を引く場所にお店を構えられるため、初めて利用する人が迷わず気軽に来られるというのもポイント。「お店が見つからなくて、行くのを諦めた」など、機会の損失を防げるでしょう。
ただし、路面店は目立ちやすく多くの集客も見込める反面、賃料が高いというデメリットも存在します。特に、人の集まりやすい大型商業施設やビルの路面店は、賃料が非常に高額なケースが少なくありません。そのため、利益を得るために、ほとんど休みなしで働く必要があるかもしれません。
空中店舗(階上店舗)で開業するメリットは、路面店と比較して賃料が安く、収益が発生しやすいという点です。ただし、ビルや商業施設の2階以上に店舗が存在するので、飛び込みのお客さんの来店は少ないかもしれません。
集客数を増やすためには、ホームページや広告などの宣伝に力を入れましょう。マッサージサロンの紹介・予約サイトにエントリーしたり、季節ごとにキャンペーンを実施したりして、「利用したい!」と思わせるような工夫が大切です。
マッサージサロンを開業するためには、立地や物件にも注目しなければなりません。開業する立地や物件を選ぶ際は、「費用に対して多くの集客・収益が見込める場所なのか」に着目することも重要です。
しかし、一人でゼロから条件の良い立地や物件を探すのは容易ではありませんし、初めての開業となるとわからないことだらけで不安になることもあるでしょう。マッサージスクールの中には、在校生だけでなく卒業生向けに開業サポートを行っているスクールも少なくありません。そういったサポートも上手に活用することで、長期的なマッサージサロン経営を目指せるでしょう。
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