「研修費無料」と聞いていたのに、辞めるタイミングで「1年以内に辞めるなら研修費として○○円の違約金が発生します」と言われるトラブルが多い、セラピストの研修費の違約金問題について紹介しています。
業務委託で働いていたエステティシャンの事例です。自己都合により契約していたサロンを辞めたところ、研修費用の名目で違約金を請求されたとのこと。違約金について研修を始めるタイミングでの告知はなく、テキストにも記載はなかったのですが、契約書には「研修を受けたコースの施術合計が300時間に満たない場合に発生する」と記載されていたそうです。
参照元:Wor-Q(https://jtuc-network-support.com/qa_post/qa215)
ほぐしマッサージの業務委託契約をしていたセラピストの事例です。業務委託の契約書にサインをしてから1ヶ月半後に妊娠が発覚。本人は働く意志を伝えましたが、お店側から「辞めてもらい違約金が発生する」と告げられたそうです。契約書には「研修期間に退職すれば違約金が発生する。研修期間-施術人数x300という計算のもと、本契約終了後、また期間終了後も存続する」という内容が記載されていました。
参照元:弁護士ドットコム 労働(https://bbs.bengo4.com/questions/885068/)
リラクゼーションサロンと業務委託契約を結んでいたセラピストの事例です。半年間勤務したのち、体を壊して退職することに。契約していた会社からは「1年以内に辞めたので研修料して12万円支払うように」という旨を伝えられたそうです。
参照元:Yahoo!知恵袋(https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1436804054)
雇用契約を結んでいる場合は、労働基準法16条で規定されている「労働契約の不履行について違約金を定めまたは損害賠償額を予定する契約をしてはならない」に反しているとみなされるため、基本的にこのようなトラブルは起こりません。もし起こったとしても労働基準法16条に反しているため、契約書の違約金に関する内容は無効とされます。しかし、雇用契約を結ばない「業務委託」の場合、原則支払い義務が発生します。
例外として、業務委託でも勤務場所や勤務時間が拘束される、具体的な指揮命令を受ける契約だった場合は、実質その企業の「労働者」とみなされ、労働基準法16条が適用されるケースもあります。ただし、契約上のトラブルは民事の扱いで、相談先となるのは弁護士。違約金と同等の依頼金が発生する可能性もあります。
違約金の支払い義務について、業務委託の場合はその人の勤務状況により判断が変わるため、必ずしも「支払わなくて良い」「支払う必要がある」とは言えないのが現状です。トラブルを避けるためには事前にそういった内容が契約書に記載されていないか確認しておくことが大切。
今は辞めるつもりがなくても、結婚・妊娠・出産、病気、事故などにより急に辞めることになる可能性もあります。頑張って働いたお給料がすべて違約金で消えてしまう…なんて辞退を避けるためにも、契約を結ぶ前に入念にトラブルに発展する内容がないか確認しておきましょう。